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【2026年版】副業の事業所得と雑所得の違い|開業届を出すと節税できる理由を徹底解説

「副業の収入って事業所得?雑所得?どっちで申告すればいいの?」「開業届を出すと節税になるって本当?」

結論からお伝えすると、副業収入を事業所得として申告すれば最大65万円の控除が使えるようになり、年間7〜13万円の節税が可能です。ただし事業所得として認められるには、一定の条件を満たす必要があります。

この記事では、副業サラリーマンとして活動しながら開業届を提出し、事業所得で申告している筆者が、事業所得と雑所得の違い・判断基準・具体的な手続き方法をわかりやすく解説します。この記事を読めば、自分の副業収入をどちらで申告すべきか判断でき、最適な節税対策が取れるようになります。

副業を始める前の準備については「サラリーマンが副業を始める前にやるべき準備」で詳しく解説しています。

事業所得と雑所得とは?基本の違いを解説

まず、事業所得と雑所得それぞれの定義を確認しましょう。

事業所得とは、継続的に独立した事業活動から得られる所得です。農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業などの事業から生じる収入がこれにあたります。フリーランスや個人事業主としての副業収入が該当するケースが多く、青色申告の対象になります。

雑所得とは、他の9種類の所得区分に当てはまらない所得です。会社員が単発で行うクラウドソーシングの収入や、趣味の延長で得た収入などが該当します。確定申告は必要ですが、青色申告は利用できません。

以下の表で、事業所得と雑所得の主な違いを比較してみましょう。

比較項目事業所得雑所得
青色申告特別控除最大65万円なし
赤字の繰越控除3年間繰越可能不可
赤字の損益通算給与所得と通算可能不可
経費の範囲幅広く認められる限定的
青色事業専従者給与家族への給与を経費計上可不可
帳簿の義務複式簿記が必要(65万円控除の場合)簡易な記録でOK
社会的信用高い(融資・契約で有利)低い

このように、事業所得は税制面で圧倒的に有利です。ただし帳簿管理の手間が増えるため、副業の規模や将来の計画に応じて判断することが大切です。

副業収入が事業所得になる3つの判断基準

2022年の国税庁通達改正により、副業収入を事業所得として申告するための基準がより明確になりました。以下の3つのポイントを総合的に判断します。

①継続的・反復的に収入を得ているか

事業所得と認められるための最も重要な要素は、継続性と反復性です。単発の収入ではなく、毎月のように定期的に収入が発生していることが求められます。

たとえば、Webライターとして毎月複数のクライアントから報酬を受け取っている場合は「継続的・反復的」と判断されやすくなります。一方、友人に頼まれて一度だけWebサイトを作って報酬をもらった場合は、雑所得として扱われるのが一般的です。

②独立した事業としての実態があるか

「事業」と認められるには、独立した事業としての実態が必要です。具体的には以下のような要素が判断材料になります。

  • 自分の名前や屋号で取引先と契約している
  • 専用の事業用口座を持っている
  • 名刺やWebサイトなど事業用のツールがある
  • 事業計画を立てて戦略的に活動している
  • 開業届を税務署に提出している

これらの要素がそろっていればいるほど、事業としての実態があると認められやすくなります。

③収入規模と時間投資のバランス

2022年の通達改正では、年間300万円を超える収入がある場合は事業所得として認められやすいという目安が示されました。ただしこれは絶対的な基準ではなく、300万円以下でも帳簿書類を適切に保存していれば事業所得として認められるケースがあります。

また、副業に費やしている時間も重要な判断材料です。本業の傍ら週に数時間程度の作業では事業とは認められにくく、週10時間以上など一定の時間を継続的に投資していることが望ましいとされています。

事業所得にする5つのメリット

副業収入を事業所得にすることで得られるメリットは非常に大きいです。ここでは代表的な5つのメリットを詳しく解説します。

①青色申告特別控除(最大65万円)

事業所得にする最大のメリットは、青色申告特別控除が使えることです。e-Taxで確定申告を行い、複式簿記で帳簿をつけていれば、最大65万円が所得から差し引かれます

たとえば副業収入が年間200万円で経費が50万円の場合、雑所得では課税所得は150万円ですが、事業所得(青色申告)なら150万円−65万円=85万円まで圧縮できます。所得税率20%の人なら、これだけで約13万円の節税効果があります。

青色申告の手続きについては「開業届と青色申告の始め方ガイド」で詳しく解説しています。

②赤字を3年間繰り越せる

事業所得では、赤字(損失)を翌年以降3年間にわたって繰り越すことができます。さらに、給与所得など他の所得との損益通算も可能です。

たとえば副業を始めた初年度に設備投資で50万円の赤字が出た場合、その赤字を給与所得から差し引くことで所得税の還付を受けられます。雑所得ではこのような損益通算は一切できません。

③経費の範囲が広がる

事業所得では、雑所得に比べて経費として認められる範囲が広くなります。自宅の家賃や光熱費の一部を事業用として按分計上したり、書籍代・セミナー費用・交通費なども幅広く経費にできます。

副業で使える経費の詳細は「副業の経費完全ガイド」で解説しているので、あわせて参考にしてください。

④家族への給与を経費にできる

青色申告をしている場合、生計を一にする配偶者や親族に支払った給与を経費として計上できます。これを「青色事業専従者給与」といいます。

たとえば配偶者が副業の事務作業を手伝ってくれている場合、月8万円の給与を支払えば年間96万円を経費にでき、大きな節税効果が期待できます。ただし、事前に税務署へ届出書の提出が必要です。

⑤社会的信用が向上する

開業届を出して事業所得で申告することで、個人事業主としての社会的信用が得られます。金融機関からの融資審査や、クレジットカードの審査、賃貸契約などで有利に働くケースがあります。

また、取引先との契約においても「個人事業主」として正式に登録されていることが信頼につながり、単価アップの交渉材料になることもあります。

事業所得にするデメリット・注意点

事業所得にはメリットが多い反面、いくつかの注意点もあります。しっかり理解したうえで判断しましょう。

帳簿管理の義務が発生する

65万円の青色申告特別控除を受けるには、複式簿記による帳簿管理が必要です。仕訳帳・総勘定元帳の作成が求められるため、会計知識がない方にはハードルが高く感じられるかもしれません。

ただし、やよいの青色申告オンラインなどの会計ソフトを使えば、簿記の知識がなくても画面の指示に従って入力するだけで帳簿が自動作成されます。初年度無料のプランもあるので、コストを抑えて始めたい方にもおすすめです。

個人事業税がかかる場合がある

事業所得が年間290万円を超える場合、個人事業税(税率3〜5%)が課税されます。ただし290万円の控除があるため、副業レベルの収入であれば該当しないケースがほとんどです。

なお、ライター業やプログラマーなど一部の業種は個人事業税の対象外となる場合もありますので、事前に確認しておきましょう。

失業保険が受けられなくなる可能性

開業届を出して個人事業主になると、会社を退職した際に雇用保険の失業手当を受けられなくなる可能性があります。ハローワークでは「事業を行っている人は失業状態ではない」と判断されるためです。

ただし将来的に会社を辞める予定がない場合は、それほど大きなデメリットにはなりません。退職を検討している場合は、廃業届を提出してから失業手当を申請する方法もあります。

事業所得にするための手続き(開業届の出し方)

副業収入を事業所得にするためには、開業届と青色申告承認申請書の提出が基本的なステップです。以下の流れで手続きを進めましょう。

ステップ1:開業届を作成する

国税庁のWebサイトから「個人事業の開業・廃業等届出書」をダウンロードするか、freeeやマネーフォワードなどの無料サービスを使って簡単に作成できます。屋号・事業内容・開業日などを記入します。

ステップ2:青色申告承認申請書を作成する

開業届とセットで「所得税の青色申告承認申請書」も提出しましょう。65万円控除を受けるには、開業日から2ヶ月以内(1月1日〜1月15日に開業した場合は3月15日まで)に提出する必要があります。

ステップ3:税務署に提出する

作成した書類を管轄の税務署に提出します。窓口への持参・郵送・e-Taxでの電子申請のいずれかで提出可能です。控え用のコピーに受領印をもらうのを忘れないようにしましょう。

ステップ4:会計ソフトを導入して帳簿を開始する

提出が完了したら、すぐに帳簿管理を始めましょう。やよいの青色申告オンラインなら初年度無料で使えるため、開業直後から経費の記録を漏れなく行えます。

開業届と青色申告の手続きをさらに詳しく知りたい方は「開業届と青色申告の始め方を5ステップで解説」をご覧ください。

【FAQ】事業所得と雑所得のよくある質問

Q. 副業収入300万円以下は雑所得になる?

いいえ、必ずしもそうとは限りません。2022年の国税庁通達改正で「300万円以下は雑所得」という案が出ましたが、最終的には帳簿書類を適切に保存していれば、300万円以下でも事業所得として認められることが明記されました。継続性・事業の実態・帳簿保存の3点がポイントです。

Q. サラリーマンでも事業所得にできる?

はい、サラリーマンでも副業収入を事業所得として申告することは可能です。給与所得と事業所得は別々に計算され、確定申告時に合算します。ただし前述の判断基準(継続性・独立性・収入規模)を満たす必要があります。

Q. 開業届を出さなくても事業所得で申告できる?

法律上、開業届を出さなくても事業所得として申告すること自体は可能です。ただし、開業届を出していないと青色申告ができないため、65万円控除の恩恵を受けられません。また税務署から「事業の実態がない」と判断されるリスクも高まるため、開業届の提出は強く推奨します。

Q. 事業所得にすると会社にバレる?

事業所得にしたこと自体が会社にバレるわけではありません。会社に副業が知られる主な原因は住民税の金額変動です。確定申告時に住民税の徴収方法を「自分で納付(普通徴収)」に選択すれば、副業分の住民税が会社に通知されることを防げます。

Q. 雑所得から事業所得に変更するタイミングは?

副業を始めてすぐは雑所得で申告し、継続的な収入が見込めるようになった段階で事業所得に切り替えるのが一般的です。目安としては、半年〜1年間にわたって安定した収入があり、今後も事業として継続する意思がある場合が切り替えのタイミングです。開業届は遡って提出することも可能です。

Q. 副業収入が20万円以下なら確定申告は不要?

所得税に関しては、給与所得者で副業の所得が20万円以下の場合は確定申告が不要です。ただし住民税の申告は必要なので注意してください。また、医療費控除やふるさと納税の申告をする場合は、20万円以下でも確定申告が必要になります。詳しくは「副業20万円以下の確定申告ガイド」を参照してください。

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まとめ

この記事では、副業の事業所得と雑所得の違い、事業所得にするための判断基準、メリット・デメリットについて解説しました。

ポイントをまとめると以下のとおりです。

  • 事業所得にすれば青色申告で最大65万円の控除が受けられ、年間7〜13万円の節税効果がある
  • 事業所得と認められるには継続性・独立性・収入規模の3つの判断基準を満たす必要がある
  • 赤字の繰越控除・損益通算・家族への給与経費化など、雑所得にはない税制優遇が多数ある
  • 帳簿管理の手間はあるが、やよいの青色申告オンラインなどの会計ソフトで負担を大幅に軽減できる
  • 開業届と青色申告承認申請書を提出すれば、サラリーマンでも事業所得での申告が可能

副業収入が安定してきたら、早めに開業届を提出して事業所得での申告に切り替えることで、大きな節税メリットを得られます。まずは「開業届と青色申告の始め方ガイド」を参考に、手続きを進めてみてください。

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