「労働基準法が40年ぶりに改正されるって聞いたけど、副業に影響はあるの?」「勤務間インターバルとか、つながらない権利って何?」
結論からお伝えすると、今回の労働基準法改正は副業サラリーマンにとって追い風です。最大の注目ポイントは、副業・兼業の割増賃金通算ルール見直し。これにより企業が副業を認めやすくなり、「副業禁止」の壁が崩れる可能性があります。
この記事では、副業歴9年・年間7桁稼ぐ筆者が、2026年の労働基準法改正のうち副業サラリーマンに関係する7つの変更点をわかりやすく解説します。改正の全体像から具体的な対策まで、この記事を読めば今すぐやるべきことが明確になります。
2026年労働基準法改正とは?
労働基準法は1947年(昭和22年)に制定された、働く人を守るための基本的な法律です。今回の改正は1987年以来、実に40年ぶりとなる大規模な見直しで、労働基準関係法制研究会の報告書をベースに進められています。
なぜこのタイミングで大改正なのか。背景には以下の社会変化があります。
- テレワークの普及:コロナ禍をきっかけに働く場所の自由度が大幅に向上
- 副業・兼業の一般化:政府の副業推進ガイドラインもあり、副業を認める企業が増加
- ギグワーカーの増加:UberEatsの配達員やフリーランスなど、従来の「労働者」の枠に収まらない働き方が拡大
- 人手不足の深刻化:労働力人口の減少に伴い、柔軟な働き方の制度整備が急務に
つまり、今の労働基準法は「1つの会社で毎日決まった時間に出勤する」という昭和型の働き方を前提に作られているため、現代の多様な働き方に対応しきれなくなっているのです。
副業サラリーマンに影響する7つの変更点
今回の改正案には多くの項目が含まれていますが、ここでは副業をしている(またはこれから始めたい)サラリーマンに直接関係する7つの変更点に絞って解説します。
①14日以上の連続勤務禁止
現行法では、変形休日制(4週4日の休日)を使えば最大48日間の連続勤務が理論上可能でした。今回の改正では、精神障害の労災認定基準を踏まえ、13日を超える連続勤務を禁止する方針です。
副業サラリーマンにとっては「平日は本業、土日は副業」のように休みなく働き続けるリスクへの歯止めとなります。最低でも2週間に1日は完全な休養日を確保することが法的にも求められるようになります。
②勤務間インターバル11時間義務化
勤務間インターバルとは、仕事が終わってから次の仕事を始めるまでの休息時間のことです。EU(欧州連合)では11時間のインターバルが義務化されていますが、日本では努力義務にとどまっていました。
今回の改正で、EU基準に準拠した11時間のインターバルが義務化される方向です。具体的には、23時に退勤した場合、翌日の始業は10時以降になります。
副業をしている方は、本業の退勤後に副業をするケースが多いと思います。インターバル規制が導入されれば、夜遅くまで副業をして翌朝の本業に支障が出るリスクについて、より明確な基準ができることになります。
③法定休日の特定義務化
現行法では、使用者は週1日または4週4日の休日を与えればよく、どの日が法定休日かを特定する義務はありませんでした。今回の改正で、就業規則に法定休日を明確に特定して記載することが義務化されます。
これにより、副業サラリーマンは「いつが確実に休める日なのか」が明確になるため、副業のスケジュールが立てやすくなるメリットがあります。
④つながらない権利
「つながらない権利」とは、勤務時間外に仕事の電話やメール、チャットに対応しなくてよい権利のことです。フランスやイタリアなど欧州では法制化が進んでいます。
今回の改正では、法律そのものではなくガイドラインとして勤務時間外の業務連絡を制限する方向で検討されています。
副業サラリーマンにとっては非常に大きな変化です。本業の退勤後に上司からの連絡に対応する必要がなくなれば、その時間を副業に充てることができます。精神的にも「副業に集中できる時間」が確保しやすくなるでしょう。
⑤副業・兼業の割増賃金通算ルール見直し
今回の改正で副業サラリーマンに最も影響が大きいのがこの変更です。
現行法では、労働者がA社とB社で働いている場合、両社の労働時間を通算して1日8時間・週40時間を超えた分は割増賃金(残業代)を支払う義務がありました。しかし実務では、他社の労働時間を正確に把握するのは困難で、これが企業が副業を認めない大きな理由のひとつでした。
今回の改正では、割増賃金の算定については労働時間の通算を不要とする方向で見直しが進んでいます。これが実現すれば、企業は「他社の労働時間管理までしなければならない」という負担から解放され、副業を許可するハードルが大幅に下がることが期待されます。
ただし、健康確保の観点からの労働時間管理(上限規制など)については引き続き通算する方向で議論されています。割増賃金の通算は不要になっても、長時間労働による健康リスクの管理は継続される点に注意が必要です。
⑥有給休暇の賃金算定方法統一
現行法では、有給休暇の賃金算定方法として「通常賃金」「平均賃金」「標準報酬日額」の3つが認められています。今回の改正では、「通常賃金方式」を原則とする方向で統一されます。
副業サラリーマンにとっては、有給取得時の賃金計算がシンプルになることで、有給を取得しやすくなるメリットがあります。有給を使って副業の時間を確保するという選択もしやすくなるでしょう。
⑦週44時間特例措置の廃止
現行法では、商業(小売業)やサービス業など一部の業種で、法定労働時間が週40時間ではなく週44時間とされる特例措置がありました。今回の改正では、この特例措置が廃止され、すべての業種で週40時間に統一されます。
副業先がサービス業や小売業の方は、法定労働時間が短くなることで残業代が発生しやすくなる可能性があります。また、副業先の労働条件が改善される効果も期待できます。
副業サラリーマンが今からやるべき3つの対策
改正の施行時期はまだ確定していませんが、方向性はほぼ固まっています。今のうちから準備しておくことで、改正後にスムーズに対応できます。
①自分の労働時間を正確に記録する
連続勤務禁止や勤務間インターバルの規制が導入されると、自分の労働時間を正確に把握していることが重要になります。
具体的には以下の方法で記録を始めましょう。
- 本業:出退勤時刻、残業時間を記録(勤怠システムのスクショでOK)
- 副業:作業開始・終了時刻を毎日記録(スプレッドシートやTogglなどの時間管理ツールが便利)
- 休日:完全な休養日がいつだったかを記録
この記録は、万が一労働トラブルが発生した際の証拠にもなります。今日から始めても早すぎることはありません。
②会社の就業規則の副業ルールを確認する
割増賃金の通算ルールが見直されれば、これまで副業を禁止していた会社が副業解禁に動く可能性があります。
今のうちに確認しておくべきポイントは以下の通りです。
- 就業規則に副業に関する規定があるか
- 副業が「許可制」か「届出制」か「禁止」か
- 副業申請の手続き方法
- 競業避止義務(同業他社での副業禁止)の範囲
もし現時点で副業禁止であっても、法改正をきっかけに規則が変わる可能性があります。人事部への相談タイミングを見計らっておくとよいでしょう。副業解禁企業の事例については「副業解禁している大手企業一覧」でまとめています。
③確定申告と社会保険の知識を身につける
副業のハードルが下がることで、新たに副業を始める人が増えることが予想されます。先行者利益を確保するためにも、確定申告や社会保険の基礎知識は今のうちに身につけておきましょう。
- 確定申告:副業所得が20万円を超えたら必要。事業所得にすれば青色申告で最大65万円控除も
- 住民税:副業バレ防止のため普通徴収を選択するのが基本
- 社会保険:副業先でも社会保険加入の条件を満たす場合は二重加入の手続きが必要
確定申告について詳しくは「副業の事業所得と雑所得の違い」、副業バレ対策は「副業がバレる原因と対策」をご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 労働基準法の改正はいつから施行される?
当初は2027年4月施行が見込まれていましたが、法案の国会提出は見送られている状況です。施行時期は未定ですが、改正の方向性自体は労働基準関係法制研究会の報告書で確定的です。いつ施行されても対応できるよう、今から準備を進めておくことをおすすめします。
Q. 改正で副業がバレやすくなる?
今回の改正に、副業が直接的にバレやすくなるような規定は含まれていません。住民税を普通徴収にすることで、これまで通り会社にバレるリスクを抑えることが可能です。詳しい対策は「6月の住民税通知で副業がバレる?完全対策ガイド」で解説しています。
Q. フリーランス(個人事業主)も改正の対象?
労働基準法は雇用関係にある「労働者」を対象とした法律のため、フリーランスや個人事業主は原則として対象外です。ただし、労働者性の判断基準の見直しも同時に検討されており、実態として労働者に近い働き方をしているフリーランスについては保護の対象となる可能性があります。フリーランスの独立準備については「副業からフリーランスに独立する準備7選」をご覧ください。
Q. 連続勤務禁止は副業の労働時間も合算される?
現時点の議論では、連続勤務の管理は各事業場(会社)ごとに行う方向です。つまり、A社で13日以内、B社でも13日以内であれば合算はされません。ただし、健康確保の観点から通算管理すべきという議論もあり、今後の動向に注目が必要です。
Q. つながらない権利は副業にも適用される?
つながらない権利は本業・副業を問わず適用される方向で検討されています。副業先の勤務時間外に本業の上司から連絡が来る、あるいはその逆のケースについても、勤務時間外の業務連絡制限の対象となることが想定されています。
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労働基準法改正に関連して、副業サラリーマンに役立つ記事をまとめました。
- 【完全ガイド】副業からフリーランスに独立する準備7選
- 【副業準備】サラリーマンが副業を始める前にやるべきこと
- 【2026年版】副業の事業所得と雑所得の違い
- 【6月の住民税通知で副業バレ?】完全対策ガイド
- 副業がバレる原因と対策まとめ
- 【2026年最新】副業解禁している大手企業一覧
まとめ
2026年の労働基準法改正は、1987年以来40年ぶりの大改正です。特に副業サラリーマンにとっては、割増賃金の通算ルール見直しにより企業が副業を認めやすくなるという大きな追い風になります。
改正の7つのポイントをおさらいしましょう。
- 14日以上の連続勤務禁止:休養日の確保が法的に義務化
- 勤務間インターバル11時間義務化:退勤から翌始業まで11時間の休息
- 法定休日の特定義務化:休日が明確になりスケジュールが立てやすく
- つながらない権利:勤務時間外の業務連絡制限で副業時間を確保
- 割増賃金の通算ルール見直し:企業が副業を許可しやすくなる最大の変化
- 有給休暇の賃金算定方法統一:有給が取りやすくなる
- 週44時間特例措置の廃止:全業種で週40時間に統一
施行時期は未定ですが、方向性は確定的です。今のうちから労働時間の記録、就業規則の確認、確定申告の知識習得を始めておきましょう。改正が実現すれば、副業がより身近で当たり前の選択肢になる時代がやってきます。
副業の始め方については「サラリーマンが副業を始める前にやるべきこと」で詳しく解説しています。まだ副業を始めていない方は、ぜひチェックしてみてください。